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売上高は417億円、前年比6.6%増
2025年3月期の売上高は417億1,100万円で、前年同期比6.6%の増収となりました 。
増収の背景には以下の要因があります。
- 主力の情報通信システム事業における法人向けソリューションの拡大
- セキュリティ関連製品やクラウドサービスの需要増加
- 公共・医療分野での受注増
これにより、サクサはDX(デジタル変革)需要を的確に取り込んだ成長を実現しました。
営業利益は28.6億円、前年比31.5%増
営業利益は28億6,100万円で、前年同期比31.5%の増益となりました 。経常利益は29億7,400万円(同29.1%増)、純利益は20億6,100万円(同31.2%増)と、いずれも2桁成長を記録しています。
増益の要因は以下の通りです。
- 高付加価値サービスの拡販による利益率の改善
- 原価管理の徹底と販管費の抑制
- クラウド型サービスのストック収益化が進展
利益率の向上は、事業構造の転換と収益モデルの進化を反映しています。
財務体質は堅調、自己資本比率は約60%
2025年3月期末の総資産は約370億円前後と推定され、自己資本比率は約60%と健全な水準を維持しています。
注目すべき財務指標:
- 現金および現金同等物:約100億円規模
- 有利子負債:低水準を維持
- 営業キャッシュフロー:黒字基調を継続
また、成長投資と株主還元の両立が可能な資本構成が整っており、今後のM&Aや新規事業展開にも柔軟に対応できる体制です。
配当は記念配含め増配、株主還元を強化
2025年3月期の配当は、1株あたり50円(うち記念配当10円)と、前年の40円から増配されました 。
株主還元のポイント:
- 配当性向は約40%台
- 中間配当制度を導入し、年2回配当へ移行
- 株主優待制度も新設(2024年11月発表)
これにより、安定配当+優待による長期保有インセンティブの強化が図られています。
中期経営計画と成長戦略
サクサは、2025年以降の中期経営計画において、以下のような成長戦略を掲げています。
成長戦略の柱:
- クラウドPBXやIoTセキュリティ製品の拡販
- 自治体・医療機関向けソリューションの深化
- AI・データ連携基盤を活用した新サービスの創出
- パートナー企業との協業強化による販路拡大
これらの施策により、「通信×セキュリティ×クラウド」の融合による持続的成長を目指しています。
まとめ:安定成長と還元強化が進む中堅ICT企業
サクサホールディングスの2025年決算は、以下のような投資家にとっての注目ポイントを含んでいます。
- 売上・利益ともに2桁成長を達成し、収益性が大幅改善
- 財務体質は堅調で、成長投資と還元の両立が可能
- 増配・優待制度導入により株主還元姿勢を明確化
- 中期的にはクラウド・セキュリティ領域での成長が期待される
今後は、クラウドサービスの拡販と公共分野での受注拡大が、企業価値向上のカギとなるでしょう。