売上と利益の変化について
2025年3月期のワコールホールディングスの売上収益は1,738億9,600万円で、前の年と比べて7.1%の減少となりました 。一方で、営業利益は33億2,800万円となり、前年の95億300万円の損失から黒字に転換しました。
利益が改善した理由は以下の通りです。
- 不採算事業の撤退や整理を進めた
- 国内外でコストの見直しを行った
- 不動産の売却益を計上した
事業ごとの成績を見てみよう
ワコールホールディングスは、次のような事業を行っています。
- 国内ワコール事業:百貨店や量販店での下着販売
- 海外ワコール事業:アメリカ・中国・ヨーロッパなどでの販売
- ピーチ・ジョン事業:若年層向けブランドの展開
- その他事業:物流や不動産など
この中で特に苦戦したのは「国内ワコール事業」です。来店客数の減少や、戦略的な店舗撤退の影響で売上が減少しました。一方で、ヨーロッパ事業は好調で、利益率が改善しています 。
お金の流れ(キャッシュフロー)
- 営業活動による収入:本業による現金収入は黒字に回復
- 投資活動による収支:不動産の売却などでプラスに転じた
- 財務活動による支出:借入金の返済や配当の支払いを実施
特に、浅草橋ビルや旧福岡事業所跡地の売却により、営業外収益が大きく増えました。これが利益回復の大きな要因となっています。
借金と資産のバランス
- 総資産:約3,000億円(推定)
- 自己資本比率:60%前後(安定水準)
- 有利子負債:減少傾向
財務の安定性は高く、借金も少なめです。資産の多くを自社で保有しており、長期的な経営にも安心感があります。
来年の見通しと配当
ワコールホールディングスは、2026年3月期も安定した経営を目指しています。
- 売上予想:微増を見込む
- 利益予想:構造改革の効果で黒字を維持
- 配当:2025年は1株あたり60円、2026年も同水準を維持予定
株主への配当も安定しており、今後も継続的な還元が期待されます。
まとめ:ワコールHDは再成長に向けて再構築中
ワコールホールディングスは、売上は減少したものの、不採算事業の整理や不動産売却により黒字を回復しました。国内市場の厳しさはあるものの、海外事業やコスト管理の強化で、今後の安定成長が期待されます。配当も安定しており、株主にとっても安心できる企業です。